冬が近づいてきた今の時期によく見かけるのが、秋の風物詩「干し柿」です。昔から干し柿は生のものが摂りにくくなる寒い冬の保存食として貴重な食材でした。
今回は、先人の食の知恵が凝縮されている保存食「干し柿」の作り方や干し方、栄養効果までご紹介します。
干し柿の栄養効果と効能は?
柿に含まれる渋味成分は、シブオールなどの水溶性タンニンの1種で、ポリフェノールの仲間です。
干し柿は、渋柿を干すことでタンニンが水溶性から不溶性になり、渋く感じなくなるのですが、タンニンが消えたわけではありません。渋柿と干し柿のタンニンの量はほとんど同じです。干し柿にすることで水分が抜けて糖度が高くなり、甘味は甘柿の約4倍にもなります。
そして、干し柿は甘柿の約3倍以上のβ-カロテンを含んでいます。β-カロテンは、強い抗酸化作用で活性酸素を除去し、また必要に応じて体内でビタミンAに代わり、粘膜を強くする働きがあります。
これから風邪ひきやすい季節になりますが、免疫力を高めて風邪予防に!また肌の乾燥を防ぐことにも役立ちますので本当にこの季節に嬉しい栄養がいっぱいです。
注目の抗酸化成分クリプトキサンチンも
さらに干し柿にはβ-カロチンの5倍もの発がん抑制効果が報告されているクリプトキサンチンも!
クリプトキサンチンやβ-カロテンは、アルコールによる肝機能障害を予防する働きがあります。またタンニンにも血液中のアルコールを分解する働きがありますので、お酒も多く飲みがちな今の時期にはぴったりですね。
干し柿になるとビタミンCは甘柿よりなくなってしまいますが、水分が抜けることで重量あたりの食物繊維の含有率が高まります。
しかし、いいことばかりだと、とり過ぎればカロリーが高いので、肥満の原因にもなります。やはりバランスよく適量が一番です。
干し柿の作り方
道の駅でたっぷりと渋柿を買い込んで、干し柿を作ってみます。
しわがよらないように、厚めに皮を剥くと見た目がきれいになります。皮は残さないようにしっかりとむきます。
ビニール紐を使って、結びやすいように、1本の紐の両端に柿を1個ずつ結びつけました。少し長めの紐、短い紐を作ることで竿にかける時に柿どうしがつかないように出来ます。柿どうしが付くとカビの原因にもなりますので付かないように干します。
消毒のために、沸騰したお湯に5~10秒つけて干します。
干し柿の干し方と干す期間
ベランダの物干し竿に柿をつるしました。雨が降っても濡れないところに干してください。
1週間から10日すると表面が乾いてきますので、この時が、第1回目の手入れが必要なタイミングです。周りから内の方へ揉み回します。それから5日から1週間したら同じようにして、カキの中心まで揉み切るといいです。
- 干し柿の表面に吹いた白い粉は、糖が表面にしみ出たもので、たくさん吹いているものほど甘いという目安になります。
- 干し柿の干す期間は、大きさや好みにもよりますが、約1か月間干すと出来上がりです。
- 干し柿の保存方法は、キッチンペーパーに出来上がった干し柿を包んでビニール袋にいれてゴムで閉めて保管してください。
昔から日本の食文化に根付いている「干し柿」。少し手間はかかりますが、これから出来上がるまで1カ月後が楽しみです。
皆さんもぜひ干し柿に挑戦してみてください。