この記事の監修者
亀崎智子 (かめざき・さとこ)
「食べ方」と「出し方」をお伝えするかめごはんの料理教室を主宰。昔ながら季節の手仕事や発酵食品、オーガニック食品などの取り入れ方が得意。マスターファスティングコンシェルジュ
◎ 公式サイト kamegohan.com
お肌の乾燥が気になる季節は、お肌のお手入れは「乾燥しないようにクリームやパック」をすればよいと考えていませんか?
しかし、体の内側から綺麗にすることも大切です。そこで今回は、美容や健康にも役立つ「トマト缶の栄養」についてご紹介します。
生トマトとトマト缶って何が違う?
生トマトとトマト缶の大きな違いは、使用しているトマトの種類です。
スーパーなどの店頭に陳列されている生のトマトはピンク系と呼ばれるトマトです。生のトマトは完熟する前に収穫されます。それは、完熟してからの収穫では、店頭に陳列されるまでに傷んでしまう可能性が高いためです。そのため、生のトマトは酸味も少なく、フレッシュな味わいを楽しめますが、完熟に比べると栄養価はどうしても落ちてしまいます。
一方で、トマト缶に使用されているトマトは赤系と呼ばれて、イタリア産の完熟トマトが使用されることが多いです。トマト缶は製造工程で加熱処理が行われます。そのため、生に比べると酸味はあるものの濃厚な甘みを楽しむことができます。
同じトマトである生トマトとトマト缶ですが、似ているようで異なる部分も多いので、代用して使用するには適してない場合もありますが、上手に使い分けてあげることで、トマトのさまざまな味わいを楽しむことができるのです。
生トマトの3倍!?「トマト缶」の栄養について
トマト缶のトマトの大部分はイタリア産のものが使用されていることほとんどです。一方で、生のものは国産のものが多いです。
イタリアは年間通して、降水量も少ない地中海性気候の地域であり、特に真夏は日差しが強いのが特徴のひとつでもあります。この日差しに負けないために、イタリアのトマトは抗酸化物質を自ら作りながら成長します。この抗酸化物質のひとつがリコピンと呼ばれるものです。リコピンはトマトの赤色のもととなる色素成分でもあります。
そして、このリコピンは生よりもトマト缶のトマトの方が約3倍も豊富に含んでいると言われています。
他の栄養素に関しては、基本的には生のトマトと同じと考えてよいでしょう。トマトはビタミンとミネラルも豊富に含んでいる野菜です。しかし、いくつかの栄養素は生よりトマト缶の方が若干多く含まれているといわれているのがありますので、ご紹介しましょう。
① リコピン
生と缶との1番の違いであり、豊富に含まれている栄養成分です。トマトをはじめ柿やスイカなどに含まれている赤色の色素で、強い抗酸化作用をもっています。そのため、体の中で酸化を引き起こしてさびさせる活性酸素の発生を抑えてくれる働きが期待できます。
② 食物繊維
日本人が不足しがちな栄養素であり、水溶性と不溶性の2種類に分類されます。不足することで、便秘を引き起こす要因のひとつにもなっています。今、流行りの腸活には欠かせない栄養素のひとつでもあります。そして、トマト缶は少量にはなりますが、生よりも不溶性食物繊維が豊富に含まれています。
③ ビタミンE
別名「若返りビタミン」とも呼ばれる美容やアンチエイジングには欠かすことができない栄養素のひとつです。また、血液をサラサラにしてくれる効果も期待できます。脂溶性ビタミンであるので、少量でよいので、質のよい油脂と一緒に摂り入れてあげることで、体への吸収力もアップします。
生も缶もどちらもそれぞれよさがあるので、上手に使い分けができるとよいですね。
凄い!トマトの効果
昔のヨーロッパでは、「トマトが赤くなると、医者が青くなる」というようないわれ方をしていたほど、トマトは栄養バランスがよい夏野菜のひとつです。
そんなトマトの栄養効果についてご紹介します。
■ ダイエット効果
トマトに含まれている「13-oxo-ODA」が中性脂肪を燃焼させ、食物繊維が満腹感を得やすくすることで、食べ過ぎを抑えてくれます。加えて、リコピンには、脂肪細胞が成長するのを抑えてくれる働きもあるといわれています。
■ 老化やガン予防
私たちの細胞は酸化されることで、老化やガンなどの生活習慣病が引き起こされる作用があることが分かってきています。そのため、酸化を防いでくれる抗酸化作用が高いリコピンやβ-カロテンが豊富に含まれるトマトはおすすめなのです。
■ 美肌効果
リコピンはシミの元であるメラニンの生成が抑えてくれます。また、トマトに含まれているリコピンとビタミンCはコラーゲンの生成には欠かせない栄養素であり、肌のハリやシミしわの改善も期待できるのです。そして、ビタミンCの働きをサポートしてくれるケルセチンという成分も含まれています。
特に、トマト缶に豊富に含まれているリコピンは加熱調理することで吸収力もアップすることを考えるとトマトの効果に関しても、「トマト缶」の方が上という見方もできるかもですね。
トマト缶選びのポイント
1.無添加のものを選ぼう
トマト缶は100%とトマトだけということは少ないです。トマト缶の原材料表示を確認すると、トマト・裏ごししたトマトピューレ・クエン酸の3つから作られているものが多いです。それに加えて、塩が添加されているものもたまにあります。
クエン酸を使用することで、雑菌の繁殖を抑えて、腐敗を予防する働きがありますが、酸味が増してしまいます。
中には、クエン酸不使用のトマト缶もあるので、その場合は食品添加物でもあるクエン酸不使用のもを選んでみるのもよいでしょう。
2.缶であればBPAフリー、もしくは、紙パックや瓶ものを選ぼう
缶詰の内側には、金属の腐食や溶出を防ぐために、BPA(ビスフェノールA)という環境ホルモンが使用されています。これはトマト缶だけに限ったことではありませんが、トマトの強い酸の影響により、これが溶け出してしまう危険性もいわれています。
少量体の中に入ったところで何かが引き起こされるというあけではありませんが、海外では使用を禁止しているところもあるので、避けられる場合には避けるという選択肢をもっておくのもよいでしょう。
最近では、缶詰でも、「BPAフリー(不使用)」の記載があるものや紙パック、瓶詰の物も一般のスーパーでも目にする機会が増えているので、見かけた際には、1度手に取ってみてはどうでしょうか?
トマト缶の上手な使い方
お料理によって上手にトマト缶を使い分けましょう。
トマト缶には「ホールトマト」と「カットトマト」がありますが、お料理よって使い分けた方が美味しく上手にできますよ。
ホールトマト(細長い品種のトマトがそのまま)
サンマルツァーノ種などのイタリアントマトがよく使用されています。
トマトは果実には甘みが、種には酸味があります。そして、加熱をすることで、旨みが増すといわれています。そのため、煮込み料理に最適。トマトソースやカレー、お肉の煮込み料理などに使ってください。
使用する際のポイントを1つ。
ホールトマトを使用する時には、ボウルなどに出して、手で2~3回ギュっギュッとすることで果実と種がなじんで、旨みがより引き出されやすくなります。
カットトマト(丸い品種のトマトがカットしてある)
種が取り除かれているので、ホールに比べると酸味は少ないが、ほどよい酸味で果肉がしっかりしているのが特徴。さっと料理するのに適しています。ソテーやトマトのオムレツの具財などが最適です。
トマト缶のアレンジドリンク レシピ
最後に、体によいトマト缶を使って毎日飲めるトマトのアレンジジュースをご紹介します。
2人分のレシピ
- 牛乳 180cc
- トマトカット缶 半分
- バナナ 1本
- ヨーグルト(プレーン)大さじ2(好みで)
- 蜂蜜(好みで)
- 酵素(好みで)
- 天然熟成 野草酵素 20cc
ヨーグルトを入れると、かなりとろみが増すので、スプーンで食べることもできます。サラッとした方がいい方はヨーグルトは入れなくてもいいです。
生トマトの価格が高騰する時や濃厚な甘みを楽しみたい方はぜひトマト缶を使ってアレンジ料理にチャレンジしてみてください。