この記事の監修者
管理栄養士
亀崎智子 (かめざき・さとこ)
「食べ方」と「出し方」をお伝えするかめごはんの料理教室を主宰。昔ながら季節の手仕事や発酵食品、オーガニック食品などの取り入れ方が得意。マスターファスティングコンシェルジュ
◎ 公式サイト kamegohan.com
・1998年ノーベル賞受賞!血管の老化を止め、若返らせる物質の発見
・「NO」は血管を広げて若返らせ、血流を良くする
さて、「NO」とはなんのことでしょうか。「ノー」ではなく、「エヌオー」と呼びます。
「NO」とは、「一酸化窒素|Nitric Oxide」のことです。
NO(一酸化窒素)と聞くと、大気汚染に関わている物質の1つというイメージを持つ方もいるかも知れません。しかし、実は、血管に柔軟性を持たせてくれる働きがあり、血管が固くなることで生じてしまう病気の予防に欠かすことができないと知っていましたか?
NO(一酸化窒素)は体のどこで作られる?
私たちの体の全身に血液を運んでいる血管は、外膜・中膜・内膜の三層からなっています。また、中膜には平滑筋という筋肉も含まれており、血管が伸び縮みするのに重要な役割を果たします。加えて、内膜は内皮下組織と内皮細胞から成り立っています。
内皮細胞が血管の1番内側です。血流が早い時に、内皮細胞からNOが生産されます。そのため、内皮細胞が何らかの原因で機能が低下してしまうと、NOの生産量も減ってしまい、血管に柔軟性がなくなることで、体に不具合が出てしまう可能性が高まるのです。
NO(Nitric Oxide)一酸化窒素の働き
一酸化窒素のその主な働きは、大きく分けると3つ
① 血圧が安定する
NOが増えると、血管がやわらかくなり、血流が増えます。そして、血流が増えることで、さらに血液がサラサラにもなるのです。血液サラサラになることで、体のむくみや冷え、肩こりなどの改善にもつながるといわれています。加えて、血流がスムーズになることで、血圧が安定します。
② 血管を修復する
通常、血管が傷ついた時には、止血するために血小板という成分が集まって、血栓がつくられます。しかし、NOがあることで、NOがその傷ついた血管を修復してくれるので、血栓が作られずにすむのです。そのため、血流はスムーズになります。
③ 動脈硬化を予防する
NOは血管をやわらかくして、血栓を作るのを抑えてくれる働きがあるので、結果として、動脈硬化を予防することが期待できるのです。
つまり、体内に、この「NO(一酸化窒素)」を増やすことが大切ということですね。
どうしたらNO(一酸化窒素)が増えるの?
体によいことを引き起こしてくれるNOですが、増やすためには、いくつかの方法があります。その中で、あなたにとって、まずはやりやすい方法から取り入れてみてはどうでしょうか?
1.血流を増やす
血流を増やし、その摩擦によって血管内皮を刺激することでNOは増加します。
下半身の筋肉を鍛える(動かす)ことで血流が増えます。下半身には大きな筋肉が集まっていますが、そこを鍛えることで血流を増やすことが出来るんです。
例えば「ふくらはぎ」は、第二の心臓とよばれていますが、足の筋肉を動かして「ふくらはぎ」を収縮・拡張させてあげることで、血液を効率よく心臓に戻してあげることができるのです。つまり血流が増えるということです。
そのため、簡単にできるふくらはぎ体操はおすすめです。
後ろ足のかかとをつけたまま、体を少し前に倒します。ふくらはぎの筋肉が伸びているを感じれたら大丈夫です。ちょっとした隙間時間やながらでしてみるのもよいでしょう。
2.タンパク質や抗酸化物質を豊富に含む食材を食事を摂り入れる
30歳を過ぎるとNOの産生能力が低下するので、食事や運動、サプリメントでNOの産生量を増やすことを意識していきたいところ。
NOを体の中で作るには、「アルギニン」と「シトルリン」と呼ばれるアミノ酸が必要とされます。アミノ酸は、タンパク質を分解してできるものであるので、タンパク質が豊富に含まれている食材を積極的に摂り入れることがおすすめです。
その中でも特に、アルギニンが豊富に含まれている食材には、魚や赤みのお肉、鶏肉、大豆、豆類などの良質なタンパク質なナッツなどです。
ただし、肉の飽和脂肪酸はNOをつくる血管内皮細胞を傷つけるので取り過ぎには注意!
加えて、作られたNOが酸化してしまわないようにするために、抗酸化物質が豊富に含まれている食材を摂り入れるのもよいでしょう。抗酸化力が高い栄養素の代表的なものは、ビタミンA・C・E(エース)やポリフェノールなどがあります。
豚・鶏レバー、アンコウ肝、人参、モロヘイヤ
ビタミンC
パプリカ(赤)、ブロッコリー、甘柿、じゃがいも
ビタミンE
ウナギのかば焼き、アーモンド、カボチャ
ビタミンACEを全て含むもの
菜の花、ブロッコリー、ピーマン、カボチャ
ポリフェノールは植物に含まれる抗酸化物質であるので、いろいろな色のものを摂り入れることで、いろいろな種類のポリフェノールを摂り入れることができます。そのため、レインボーカラーの食卓を目指すのもおすすめですよ。
3.半身浴をする
体を深部まで温めることで、内皮細胞の機能は高まると言われています。内皮細胞の機能が高まることで、NOの生産量が増えるのです。
半身浴であれば、体を動かすことが苦手な方でも継続しやすいので、取り入れてみるのもよいでしょう。
ただし、汗がかきにくい場合には、温度を調整したり、肩にタオルをかけたりして、汗をかけるように調整するとよいでしょう。また、汗をたっぷりとかいた場合、脱水症状にならないように水分補給を忘れずに。その時の水分はせっかく温まった体を冷やさないように、常温以上のお水を飲むのがおすすめです。
4.適度に運動をする
決して、激しい運動をする必要はありません。軽く汗をかく程度の運動で内皮細胞の機能を高めることができます。有酸素運動を30分以上続けると血中にNOが増えてくるので、1回30分以上の有酸素運動を週3~4回を目安に行うと効果的だそうです。
それでも、運動にハードルを感じる場合には、通勤時に歩くスピードを少し早めてみたり、距離が短い場合には、1駅前で降りて歩く距離を増やしたりするだけでも効果があると言われています。ぜひ、試してみるのもよいでしょう。
NO(一酸化窒素)を増やす簡単エクササイズ
下半身の筋肉を鍛える(動かす)ことで血流が増えるとお伝えしました。
そこで、ここでは簡単にできるエクササイズをご紹介!
簡単に実行できるエクササイズから!どこでも出来るエクササイズです。
- つま先立ちをする
- 戻して、今度はかかとを軸にしてつま先を上げる
これを朝昼晩、2分間ずつ。
お風呂の中でもできますよ。座って足を伸ばして、つま先をのばしたり手前にあげたり。
「ふくらはぎ」の筋肉が縮んだり伸びたりしてるのがわかりますか?台所で洗い物をしながらでもいいですね。
座っているときは、手も使いましょう。
1)足がつま先立ちの時に、手のひらを広げて腕を伸ばす。
2)かかとを軸につま先を上げる時には、腕を縮こませる。
とっても簡単です。仕事中でも、寝てる時でも、テレビを見ながらでもできます!
このつま先運動、いろいろところに素晴らしい効果を出してくれます。これだったら続けられそうですよね。血管を柔らかく、健康で元気になるための「つま先エクササイズ」でした。
NO(一酸化窒素)には、血管を拡張し血流を促進する作用をはじめ、動脈硬化の抑制、免疫の向上、スポーツ時のパフォーマンス向上や疲れにくくするなど様々な効果があることが確認されています。アスリートは丹念にストレッチをやりますが、これはやはり意味があることですね。
NO(一酸化窒素)は、意外と手軽な方法を増やすことができるのです。一気にすべてをやる必要はありません。まずは1つから取り入れてみてはいかがでしょうか。そして、健康な体をゲットしましょう。