美味しい食事をすると体は「消化」という重要な働きをします。体に必要な栄養素は体に残し、不要な老廃物は便として体の外へ出されます。
便に出すことは、健康な体のためとても大事なことです。今回は、消化の働きや便秘を改善するため排便力をつける方法などご紹介します。
食べたものが便になる過程
まず、食べたものがどのようにして便になるのか消化過程について確認してみましょう。
１）食べ物はまず、口の中で細かく噛み砕かれて、唾液の消化酵素によりでんぷんの一部が消化されます。飲み込んだ食べ物は咽頭から食道へ。３０秒から１分、液体は１~５秒で胃へ送られます。
２）胃に入った食べ物は胃液によってかゆ状に消化され、少しづつ十二指腸へ。そこで胆汁や膵液などの消化酵素によって大部分が吸収されやすい状態に分解され小腸へ。２時間から４時間かかります。
３）小腸の腸管は、一定の間隔で収縮、弛緩を繰り返し、多数の節に分けたような動きをします。
そして、腸の内容物と消化液を混ぜ合わせ、栄養を吸収する重要な働きもします。大腸からの逆流を阻止する動きで、大腸中の細菌が入ってこないようにしてくれます。
４時間かけて小腸を通過、栄養素のほとんどと水分の一部が徐々に吸収。そして残ったものが大腸に行き、便の素材になります。
４）大腸の働きの中心は「ぜんどう運動」という収縮活動です。
大腸の入り口の結腸に送られてくる食べカスはドロドロの液状、約１８時間かけて結腸を通過します。その間に少しづつ水分・ミネラル（ナトリウム・カリウム）などが吸収され、未消化成分がだんだん固まります。
そして便として固形化したものがＳ状結腸へ。ここに、ある程度の便が溜まるとぜんどう運動によって直腸へ
５）直腸に便が移行すると腸壁内が刺激され、直腸の収縮運動がはじまります。この反応と同時に骨盤内臓神経などの知覚神経を介して脳の中枢に伝達され、はじめて便意として自覚されます。
ここまでが消化過程ですが、本当に人の体というのは不思議ですね。
そしていたるところで消化酵素が頑張ってくれてます。便意を自覚するということは繊細な神経の働きで脳の指令などもかかわってるんですね。
腸は敏感な第二の脳！
腸（小腸と大腸）には、神経細胞が１億個もあると言われています。脳についで２番目に多いんです。
ここでは、消化、吸収、排泄のほかに便意を起こしたり、食べ物の内容を分析したり、分解や消化に必要な酵素やホルモンの分泌を促したりなど、とても重要なことが腸で行われています。
腸の神経細胞は脳や脊髄から命令を受けずに、臓器を動かすことができるので第２の脳とも！
腸管に内容物が入れば、その近くの神経細胞が感知して腸管を動かす指令を筋肉に与え、腸管のぜんどう運動がおき、内容物が移行していきます。
腸はストレスに敏感
第２の脳ということからもストレスによって下痢や便秘になるというも理解できますね。
「家のトイレではスムーズなのに…学校や会社では出ないな～」など…
これは、自律神経の副交感神経が抑制されたためだそうです。自律神経は腸のぜんどう運動にも深くかかわっています。
排便はリラックスしたときに！副交感神経が優位にたつ時に腸の動き「ぜんどう運動」が活発なります。
便秘の原因はさまざまです。
便意のがまん、朝抜きや過度の小食、睡眠不足や夜型の生活、冷えや水分不足、運動不足、年齢とともに女性ホルモンの影響、手術後の後遺症、特定の病気や薬の影響、下剤の乱用 そしてストレス
下剤を飲むことも体によくないと思われています。
「でも便が出ない方が怖い」と…
下剤を使うと腸のリズムがくずれてしまいます。下痢によって体の中の水分はもちろん、必要なミネラルまで失われてしまいます。
寝たきりで長く手足を使わないと筋肉が衰えます。それと腸や肛門の筋肉も…
同じだと思ってください。自然な排便を体がどんどん忘れていってしまいます。
排便力をつけるため、最も重要なのは「食事」
まず、１日に３食をきちんと食べる、就寝の３時間前には食べ終わる、水分をしっかり摂ることを意識しながら取り組んで頂きたいです。
水分については、夏になれば 汗で体の水分が取られてしまいます。水1,000ml飲んでもこの中の900mlは小腸に吸収されてしまいます。大腸に到達するのは100mlだけ…
大腸でさらに体内に再吸収されるので便に吸収される量はもっと少ないです。
特に暑い夏には水分をしっかり摂りましょう。そして最も大切なお食事についても考えていきましょう！
