冬場の心筋梗塞に注意が必要なことは、よく知られるようになりましたが、夏場に脳梗塞を発症する人が増えることは、あまり知られていないようです。
発症すれば死に至る危険性も高い脳梗塞について、正しく知っておきましょう。
脳梗塞とは?
脳梗塞は、脳の血管が詰まるなど何らかの原因によって脳の組織に酸素や栄養が欠乏し、その部分が懐死(梗塞)してしまうことをいいます。
死亡率が高く、以前は発症すると約3割の人が亡くなっていました。現在は、治療薬の研究が進んだことなどにより死亡率は減少しつつありますが、それでも依然として日本人の死因上位に位置付けています。
厚生労働省が発表した「人口動態統計の概況」では、平成25年度の死因別死亡総数のうち脳血管疾患は11万8,347人となっており、日本人の死因率第4位。このうち脳梗塞は6万1,629人で、約6割を占めています。
また、たとえ一命をとりとめたとしても多くの患者に重い後遺症が残り、約3割が「寝たきり」や車椅子での生活を余儀なくされ、「脳血管性認知症」を引き起こす心配もあります。
恐い!血管の詰まり…
脳梗塞は、予防的な見地から3つに分けられています。
「アテローム血栓性脳梗塞」は、脳や頸部の太い血管が詰まって血流が悪くなり、血栓(血のかたまり)ができて脳の血管を詰まらせてしまった状態です。
「心原性脳塞栓症」は、心筋梗塞などによって心臓にできた血栓が脳に流れてきてしまったために起こります。
「ラクナ梗塞」は、脳の深部の細い血管が詰まり、その部分が壊死してしまった状態です。
いずれも動脈硬化や脂質代謝の異常による血管の詰まりが原因とされています。
夏は脳梗塞が多発! 脳梗塞の予防法
夏は発汗が多くなることから体が脱水状態になりやすく、血液も粘度を増してドロドロに…。
血流も悪くなって血栓(血のかたまり)ができやすいため、脳梗塞が増えます。特に高齢者は若年層に比べて体内水分量が少なく、皮膚の温度感受性や体温調節能力も低下していることから喉の渇きを感じにくく、脱水状態になりやすいので注意が必要です。
また、降圧剤などを服用している人は、薬の血管拡張作用によって血流が遅くなるため、血栓ができやすいと考えられるでしょう。
脳梗塞の予防法
脳梗塞を予防するには、血圧やコレステロール値を適正に保つ生活習慣を心がけるのはもちろん、DHA・EPAを豊富に含む魚の摂取がオススメです。
DHA・EPAは体内で生成することができないため、魚を積極的に摂るように心がけましょう。ビタミンやミネラルも同時に補いましょう。
また、夏に脱水状態にならないためにはこまめな水分摂取が大切です。ただし、水だけを飲んだ場合は再び放出されやすいため、ビタミンやミネラルを含む酸素飲料などの水割りなどをおすすめします。