特に女性が抱えているという便秘の悩み。今回は、だれでも簡単に実行できる便秘対策をご紹介します!特に今まで快腸だったのに突然便秘になったという方は、ぜひ読み進めてください。下剤や便秘薬に頼ることなく自然な便意をもよおして「毎日スルリ快便」を目指しましょう!
20~30代女性の7割が便秘!?
厚生労働省が実施した「2019年国民生活基礎調査」によると、「自分が便秘である」と自覚している人の割合は、男性25.4%、女性43.7%(65歳以上に限ると、男性64.1%、女性72.3%)。日本では実に多くの人々が便秘に悩んでいると考えられます。また、女性誌が実施したアンケート調査では、20~30代の「オシャレに気を使う女性」の約7割が「便秘で困ったことがある」と回答しています。
理想は「自然な便意でスルリ!」
「下腹部に張った感じがある」「何日も排便していない気がする」など、便秘の自覚症状には個人差があり、明確な定義はありません。
下剤を常用するようだとかなり重症であると考えられますが、毎日排便があっても「便が硬くて出にくい」「便の量や回数が減った」といった場合は、便秘の可能性があるかもしれません。
便秘になると便が出にくいだけでなく、腸内で老廃物の腐敗などが進んで有害物質が生成され、下腹部の不快感や膨満感、腹痛、悪心、嘔吐などをきたすこともあり、「大腸がん」などの恐い病気を引き起こす原因にもなります。
便秘の原因は…
便秘の原因としては、主に「生活リズムの乱れ」、「運動不足」、「偏食」、「過度のストレス」、「水分不足」などが考えられます。
女性の場合は、排便力に関わる腹筋が男性よりも弱いことや、「月経前症候群」によって便秘になりやすい傾向もあるでしょう。また、加齢とともに腸の活動力が低下して排便力が弱まることも考えられます。
気分転換やストレス解消となる適度な運動を習慣にし、自然な便意をもよおしてスルリと排出する排便力を維持して「快便」を目指したいものです。
旅行で便秘になる人は
旅行に行くと便秘になる人が多いと思います。旅行あるあるですね。便秘の原因である「生活リズムの乱れ」、「運動不足」、「偏食」、「過度のストレス」、「水分不足」が、旅行には全部当てはまってますね。後で詳しく書きますが、今、旅行中で便秘になってる人はまずはこれだけやってみてください。
水分不足は便秘の原因代表格です。お酒で水分が失われたり、観光に夢中で水分を摂り忘れたり、また、手に入れにくいということもあるでしょう。旅行中は案外水分を摂れていないものです。水分は便をやわらかくするのに必要なものですので、普段より多めに水分補給を心がけることが大切です。
自律神経と腸はリンクしています。自律神経のバランスを整えて、腸の調子を整えるのが目的です。副交感神経(リラックスモード)が優位になると、腸のぜん動運動が促進されて便意をもよおします。シャワーだけで済ませたりせず、しっかりと湯船に浸かってからだをリラックスさせてください。
便秘には種類がある
実は一言で便秘といっても大きく2種類に分類できます。ダイエットや旅行などにより一時的に起こる「一過性の便秘」と「慢性的な便秘」です。一過性の便秘は一時的には苦しいかもしれませんが、通常の生活に戻ると改善されることがほとんどですので、あまり問題視する必要がありません。一時的な便秘には「腸を動かすこと=リラックスなど」、「便を柔らかくして出やすくすること=水分補給など」を意識しましょう。
一方で、慢性的な便秘は種類により、対処方法も変わってくるので、少し注意が必要です。
腸のぜんどう運動が弱いことで、便の押し出しが難しくなっている。長時間のデスクワークの人は注意が必要です。
腸のぜんどう運動が強すぎて、腸がけいれんを起こすことで便が出にくくなります。職場や家庭など人間関係のストレスを抱えている人や下剤にお世話になることが多い人に見られます。
排便のリズムが崩れてしまい、便意を感じにくくなってしまうことで起こります。便意をもよおしてしまった時に、何らかの理由で我慢してしまうことが引き金になってしまいます。
便秘解消の食べ物は?乳酸菌や食物繊維を摂る!
便秘改善の第一歩は、健康的な生活習慣によって腸内環境を整えることです。偏食をやめてヨーグルトや納豆などの発酵食品を積極的に摂り、腸内に乳酸菌などの善玉菌を増やしてあげる といいでしょう。
納豆・味噌・漬け物・醤油・かつおぶし・ヨーグルト・チーズ・キムチ・みりんなど
また、排便力を助けるために食物繊維たっぷりの食事や十分な水分補給を心がけることも大切です。食物繊維は水溶性と不溶性の2種類のものがあります。水溶性:不溶性=1:2が理想バランスといわれています。水溶性は便を柔らかくして、不溶性は水分を吸収して大腸を刺激することで便通を促してくれます。食物繊維は消化されずに大腸まで到達する食品成分であり、近年では便秘予防はもちろん、整腸効果や血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度を低下させるなどの働きが認められています。(ただし、けいれん性便秘に関しては、食物繊維の摂り過ぎが悪化を引き起こしてしまう場合もあるのでご注意ください。)
人参・キウイ・昆布・切干し大根・干ししいたけ・アボカドなど
玄米・納豆・さつまいも・枝豆・雑穀・大豆など
また、腸内環境を整えるために摂取してもらいたいのが、「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」です。
プロバイオティクスは、腸内細菌のバランスを整えて、腸を元気にしてくれる微生物とそれを含んでいる食品のことを指します。代表的なものは、乳酸菌やヨーグルトなどです。一方で、プレバイオティクスは、プロバイオティクスである乳酸菌などの善玉菌のエサとなるものを指します。代表的なものは、食物繊維やオリゴ糖です。
そして、理想はこの2つを一緒に摂り入れることで、この2つを両方含んでいるものをシンバイオティクスと呼び、最近注目を浴びています。
簡単に実行できる便秘対策
便秘の原因は主に「生活リズムの乱れ」、「運動不足」、「偏食」、「過度のストレス」、「水分不足」などと先述しましたが、簡単にできる便秘対策としては体を温めること がポイントとなります。
できるだけ体を冷やさない!
便秘は、特に下腹部を温めることが大切です。昔からある腹巻きは、寒い冬の便秘対策にも使えるのでおすすめです。また、ホット専用のペットボトルに温かいお湯を入れ、タオルを巻いてお腹にあてて眠ると気持ち良いですよ。是非、お試し下さい。
水分補給は温かい飲み物で
便秘にはお白湯などの温かい飲み物がおすすめです。ただ、緑茶やコーヒーなどは、カフェインの利尿作用によってかえって便が硬くなってしまうので、飲み過ぎには注意を。水分補給を意識して摂るようにしましょう。寝起きの朝一に1杯の白湯を飲むことを習慣化してみるのもおすすめですよ。
ぬるめのお風呂で便秘マッサージ
40℃程度の湯船で入浴すると腸の緊張がとれ、副交感神経が優位になり体がリラックスします。入浴中、おへその周りに手の指を4本あてて「の」の字を書くような感じで、ゆっくりクルクルとマッサージをするとさらに効果的です。この「の」の字を書くお腹のマッサージは、大腸の位置に沿ってマッサージしていることになりますので、腸が刺激され、便意がおこりやすくなります。
適度な運動を取り入れる
腸のぜんどう運動がしっかりと働くためには、インナーマッスルを適度に鍛えてあげることが大切です。長時間のデスクワークは、骨盤がゆがむことで内臓が下がり、腸のぜんどう運動の妨げになることもあります。一方で、激しい運動は、腸に負担をかけてしまうことがあるのです、適度な運動を心がけましょう。
良質な睡眠の確保
実は睡眠中には、腸の蠕動運動をサポートしてくれる「モチリン」というホルモンが分泌されます。しかし、このホルモンは、胃の中が6時間以上の空腹を感じて、リラックスした時に分泌されるといわれています。そのため、少し空腹を感じながら、しっかりと睡眠時間を確保することもまた、便秘対策としてはおすすめなのです。
腸美人になって、便秘とさよならしよう
便秘の原因は人それぞれです。原因を突き詰めた上で、できることからスタート。すぐに、結果はでないかもしれませんが、コツコツ続けることで、しつこい便秘とさようならをして、体の中からスッキリしてみませんか?
この記事の執筆者
亀崎智子 (かめざき・さとこ)
「食べ方」と「出し方」をお伝えするかめごはんの料理教室を主宰。昔ながら季節の手仕事や発酵食品、オーガニック食品などの取り入れ方が得意。マスターファスティングコンシェルジュ ◎ 公式サイト kamegohan.com